スマートフォン対応が気になっていても、どうやればよいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、サイト 「FindTheBest」 がスマートフォン対応した際の経験について運営者の Grace Nasri さんに話を伺いました。


 対応のきっかけ:市場・ユーザーの拡大
モバイルは、これまでのどのテクノロジーよりも急速に成長しています。昨年 Google が開催したイベント「Think Mobile」では、Kleiner Perkins 社の Mary Meeker 氏がモバイルの成長に伴う前例のないスピードとパワーについて言及しました。また Google の Dennis Woodside は「モバイルは史上最大規模のテクノロジー市場を生むことになるでしょう。これまでパソコンや PC 産業が築いたものがちっぽけに感じられるはずです」と予測しました。

世界的にモバイル化の傾向にあること、消費者の多くがインターネットへのアクセスに携帯端末のみを使用していること、またユーザーはスマートフォンを利用している時間のうち約 60% は新しい活動に割いている、言い換えればサイト運営者が新規ユーザーを獲得するチャンスがそれだけある、ということを踏まえ、FindTheBest ではモバイル向けに最適化したサイトを立ち上げることを決めました。
  
FindTheBest は、データに基づく比較サイトです。当社では、潜在顧客層の大部分に効果的なアプローチができていないことから、1 月にモバイル サイトを立ち上げました。モバイル サイトの立ち上げ以前は、モバイルでの直帰率は PC より 12% 高く、閲覧ページ数は 27% 少ない状態でした。

■ 対応のための 3 つの課題
しかし、モバイル サイトの設計が必ずしも順調に進んだわけではなく、下記の 3 つの問題を検討する必要がありました。
  1. 従来のパソコンでは表示スペースが十分にあるが、携帯端末の表示スペースは限られていること。
  2. 携帯端末のインターネット接続は、パソコンよりも遅いこと。
  3. 携帯端末はタッチ操作が基本であるため、ユーザー インターフェースを変更する必要があること。
■ FindTheBest のモバイル化の過程
当社では、モバイル サイトの設計を専門家に依頼しました。そして、ユーザーの利便性を最大限に高めユーザーが他社のサイトに移動しないよう、いくつかの事項について決定する必要がありました。

まず、従来のサイトではさまざまな方法で多種多様な情報を提供していましたが、モバイル サイトでは提供する情報を限定する必要がありました。そこで、「どのようなフィルタが必要か?」を考え、比較検索の結果ページに表示するデータ項目を、最も重要な 3 項目に限定しました。同様に、ユーザーが必要とする情報に 3 ステップ以内でたどりつけること、3G ネットワークでページがすばやく表示されることも考慮しました。

その後、モバイル サイトの設計と開発を通して、メインのサイトにも改善策を取り込むことができました。

■ 成果: FindTheBest とパートナー サイトでユーザー数と広告収益が増加
これにより、携帯端末からサイトにアクセスするユーザーの割合は 25% まで増加し、広告収益はモバイル サイトの公開後 3.5 倍に増えました。また、モバイル向けに最適化したことで TechCrunchVentureBeatAndroid Authority といったパートナーサイトにもメリットを提供することができました。

その他の数値でもモバイル化の効果が出ています。
  • モバイルからの 1 回の訪問あたりのページビュー数が 15% 以上も増加
  • モバイル サイトの公開 1 週間後には、モバイルからのアクセス数が 28% 増加 (モバイル以外からのアクセス数は 19% 増加)
  • 全体のトラフィックは前月比で約 15~20% の増加を続ける中、モバイルからのアクセスの割合は 25% も上昇
  • 前年比では、全体のトラフィックは 3 倍増に対し、モバイルのみでは 7 倍も増加
■ 今後の取り組み
当社では、常にユーザーの行動を分析し、その結果に応じて継続的にモバイル サイトを最適化しています。現在は、モバイル サイトと PC サイトの基本的なコードを 1 つに統合するため、サイトの種類に応じて迅速に対応できる設計技術の導入方法を研究しています。複数のコード基盤の維持には手間がかかりますが、将来的には価値があると考えています。


Written by Grace Nasri、FindTheBest 編集長

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2012 年 5 月 22 日