LINE 株式会社と株式会社はてなは以前より Google の広告ネットワークをご利用いただいており、AdSense のみならず DFP スタンダードなどもご利用いただいております。
広告ネットワークの運用を担当されている LINE 株式会社 木原氏(以下敬称略、木原)と株式会社はてな 大久保氏(以下敬称略、大久保)のお二人に、「純広告と広告ネットワーク」をテーマにご対談いただきました。
 |
LINE株式会社 木原氏(左) 株式会社はてな 大久保氏(右) |
収益最大化には欠かせない存在へ
[木原] 弊社では livedoor やその他特化型メディアにて純広告と広告ネットワークを利用していますが 2、3 年程前から広告配信技術の進化とともに、純広告と広告ネットワークそれぞれに対する考え方が少しずつ変わってきた印象があります。以前、広告ネットワークは純広告の枠が埋まらなかった時に利用していました。しかし、現在では私が担当しているあるネットメディアを例にすると販売しているディスプレイ枠については「純広告」と「広告ネットワーク」を同じ土俵で検討し、シンプルに 1 円でも高い方を選択して配信しています。ネットメディアの収益を最大化するために広告ネットワークが絶対に欠かせない存在になってることは間違いないと思います。
[大久保] はてなではこれまで基本的に純広告の広告枠には広告ネットワークによる配信はせず、広告枠に空きが出ると自社広告を配信していました。しかし広告業界の変化に伴い、社内で純広告枠も含めて収益を最大化する、という方針になり、現在では純広告の空き枠にも広告ネットワークを配信しています。
[木原] 弊社でも過去に純広告の空き枠に自社広告を配信するという事も一時的にありましたが今現在では基本的には行っていません。自社サイトへの誘導については、自社広告専用の枠を用意しています。
[大久保] 一方で純広告の枠でネットワーク経由の広告配信もされるようになると、純広告が売れなくなるのでは、という懸念もありますよね。
[木原] そうですね。そのような懸念もありますが、広告枠の購入については売買の場をオープンにし、媒体側は高度な広告配信技術を利用した広告単価の設定や広告のブロック等で自社の配信ポリシーや価格等を守りながら運用していくのがよいと思います。
[大久保] 私もそう思います。以前は広告ネットワークと純広告の広告単価では大きな差がありましたよね。だからこそ、広告ネットワークを入れるリスクを取るのか、とらないのか?という選択でした。しかし、今では広告ネットワークの広告単価も上がってきているので、広告単価の差を以前のように気にしなくていいですよね。
 |
LINE株式会社 木原氏 |
最小限のリソースで運用
[大久保] 御社では、広告ネットワークの運用にどのくらいのリソースを配分していますか?
[木原] 私の所属する部署に 2 、3 名の広告ネットワークを運用する専門のチームがあり、複数のメディアを横断的に運用しています。従来の広告営業チームは、人力でしか売れない企画広告や大型のリッチメディア広告の営業に注力することが出来ています。
[大久保] そうなんですね。弊社の場合も広告ネットワークの運用にはあまり人材を投じていないです。その分、はてなの得意とするタイアップ広告の提案を多く出来るようになりました。
判断基準は収益性
[木原] 利用する広告ネットワーク会社を選ぶ基準は何ですか?
[大久保] はてなでは現在 Google を含む 2 社の広告ネットワークを利用していますが、収益性を基準に選定しました。以前は複数の広告ネットワークの広告を配信していましたが、2 社に限定したことによって全体の収益は上がりました。また、収益レポート作成に多くの時間を割いてしまっていましたが、広告ネットワークの整理を行ったことで結果として作業がとてもシンプルになり、会社への報告が大変楽になりました。
 |
株式会社はてな 大久保氏 |
[木原] 弊社では様々な状況に備えて、複数の広告ネットワークで運用しているので、2 社限定での運用スタイルはとても大胆だなというのが率直な感想です。ちなみに、ポリシー違反への対策はどうされているのでしょうか?
[大久保] 弊社はブログなどのユーザーが生成するコンテンツが中心なので、自社で独自のシステムを開発をするなど、ポリシー違反への対策にはとても力を入れています。
[木原] どんどんコンテンツが生成されていくので、しっかりとした仕組みがないとコントロールが難しいですよね。弊社もそういったシステムでの対策と、スタッフによる監視を 24 時間 365 日行っています。
[大久保] また、ポリシー違反が発覚した場合、すぐに社内の上層部に報告がいくようになっています。そのようなサイトは外部閲覧できないように対策をしています。
広告ネットワークに今後期待することは?
[大久保] 今後、広告ネットワークによる配信比率がさらに高まっていくことが予想されます。それに伴って広告ネットワーク各社にはターゲットの精度など広告品質を高めることに今後力を入れていただければと思っています。
[木原] そうですね。広告ネットワーク各社にはターゲットの精度など広告品質を高めることに今後力を入れていただき、広告主の満足度をあげ、最終的にはネットメディアの広告価値を高めていければと思っています。
対談者のご紹介LINE 株式会社木原氏について:以前インタビューさせていただいた際の記事をご覧ください。
強いチームワークとスピード感で AdSense の最適化を進める LINE 株式会社 - その運用方法とは?株式会社はてな大久保氏について:2011年7月株式会社はてな入社後、タイアップや純広などの営業と合わせて、広告ネットワークやアフィリエイト等の最適化などサイト全体のマネタイズも担当している。
*本日掲載している写真は全て写真家
鶴田真実氏 によるものです。
Posted by Eri Shikamura - Inside AdSense チーム
2013 年 12 月 3 日